健康・美容・賢脳

健康・美容・賢脳に関連したポータルとして、知識や情報、トピックスを提供していきます。

どうなる? 動脈硬化の原因になるトランス脂肪酸の食品表示

トランス脂肪酸って何?

 

 

 トランス脂肪酸、1gあたり9kcalのエネルギーを持つ脂質(脂肪酸)の一種です。
炭素の二重結合をもつ脂肪酸の一種である不飽和脂肪酸は、まわりの構造の違いにより、シス型とトランス型の2種類があります。

 

天然の不飽和脂肪酸のほとんどは、シス脂肪酸です。

ところが、牛や羊などの反芻動物では、胃の中の微生物の働きによりトランス脂肪酸が作られ、そのため、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中には、天然に微量のトランス脂肪酸が含まれています。

 

トランス(trans)とは、“横切って、かなたに”という意味で、水素原子(H)が炭素(C)の二重結合をはさんでそれぞれ反対側についている脂肪酸をトランス脂肪酸と呼びます。

 

一方、シス(cis)とは、“同じ側の、こちら側に”という意味で、水素原子(H)が炭素(C)の二重結合をはさんで同じ側についている脂肪酸をシス脂肪酸と言います。

 

 f:id:yakujiman:20150611145215j:plain

トランス脂肪酸を多く含む食品

 

トランス脂肪酸は、反芻動物による牛肉や羊肉、牛乳、乳製品に微量に存在しますが、それ以外にも、常温で液体の植物湯や魚油から、固形の油脂を作るときに水素添加がされ、それによってトランス脂肪酸が生成するケースもあります。この代表例としては、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングで、これらを使って調理された、ドーナツ、ケーキ、パン、揚げ物にはトランス脂肪酸が含まれることになります。


また植物油を精製する際、臭いを消すために高温処理をしますが、このとき微量にトランス脂肪酸ができます。

 

悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化の原因となるトランス脂肪酸

 

トランス脂肪酸を多く摂取すると、悪玉と言われるLDLコレステロールが血中に増えて、一方善玉と言われるHDLコレステロールが減ってしまうという研究報告があります。実際に、WHO/FAO合同専門家会合では、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満にするという勧告を出しています。これは1日あたり約2g未満に相当する目標量になります。

 

トランス脂肪酸は、心筋梗塞狭心症のリスクをあげ、アレルギー疾患の原因ともなりえるとされています。米国では、心臓病の原因になるとして、FDAがマーガリンなどの加工食品に含まれるトランス脂肪酸の規制に乗り出しています。

 

デンマーク、スイス、オーストリアでは、100g当たり2g以上のトランス脂肪酸を含んだ油脂の国内流通を禁止していて、米国、カナダ、ブラジル、アルゼンチンの他、中国や韓国でもトランス脂肪酸の食品含有量表示を義務付けています。

 

日本では現在、トランス脂肪酸の表示義務はなく、いわば野放し状態となっていますが、日本人のトランス脂肪酸摂取量は、平均約0.7g。摂取エネルギーに占める割合は約0.3%で、WHOの勧告値である「1%未満」の範囲内に十分おさまっている計算になります。