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常識のウソ! 運動でメタボはOKは間違い 鍵はマイオカイン、セダンタリー

マイオカイン

『マイオカイン(myokine)』は、運動器官である骨格筋から産生されるサイトカイン(細胞が産生する蛋白で、それに対するレセプターを持つ細胞に結合し、その細胞の増殖、分化、機能発現などを誘導する作用を示すもの)で、運動因子誘発型IL-6(インターロイキン6)・IL-7・IL-15・イリシン・LIF(白血病阻止因子)・マイオスタチン等の総称になっています。

 

IL-6は、液性免疫の中心的役割だけでなく、運動因子誘発型として「筋細胞内グリコーゲン量低下で活性化」「運動中の炭水化物補給は、収縮筋IL-6分泌を抑制」、「成長ホルモン分泌増量」など多機能サイトカインであることがわかってきています。

 

働きとしては、骨格筋における脂質代謝、糖代謝、筋委縮の改善、血管新生、肝グリコーゲンの分解促進、骨形成促進、白色脂肪の褐色脂肪化によるエネルギー消費促進、膵臓でのインスリン分泌促進など内分泌機能に関わっています。

 

腰下の若い筋肉からしか出てこないとされ、運動して新たにできた筋肉からしか分泌されず、できてから約4ヵ月間という条件付。高負荷の筋トレで開始後約10分、ジョギングなら開始後約1時間ほどで収縮筋から血中に分泌が始まるとのことです。

 

マイオカインが良く分泌される人は、メタボ系の病気になりにくいことから、「抗メタボホルモン」とか「若返りホルモン」とか言われますが、メタボ対策として、中等度の運動をしっかりと行うことが大切ということがわかります。

 

アディポカイン

脂肪細胞には脂肪を溜め込む他にエネルギー代謝やインシュリン感受性に重要な役割を果たす白色脂肪細胞と新生児や冬眠動物では特に豊富で体脂肪を減らすとされている褐色脂肪細胞があります。

 

アディポカインは白色脂肪細胞から分泌された生理活性たんぱく質で、2型糖尿病や、冠動脈疾患、脂質代謝異常に深く関与します。

 

アディポカインには善玉と悪玉があり、内臓の脂肪細胞が肥大化すると善玉が減り悪玉が増えます。

 

善玉アディポカインでは、食欲を抑制するレプチンやインスリン感受性上昇、抗炎症・抗動脈硬化作用があるアディポネクチンなどが知られ、インスリン感受性の亢進により糖尿病を、動脈硬化の防止・血管障害防止により心筋梗塞脳梗塞を防ぎます。

 

悪玉アディポカインでは、血栓形成を促進し動脈硬化を進展させるPAI-1(パイワン:プラスミノーゲン・アクチベータ・インヒビター1)、インスリンの働きを低下させ血糖を上昇させるTNF-α、糖代謝を悪化させるレジスチン、血管を収縮させて血圧を上げるアンジオテンシノーゲンなどがあります。

セデンタリー

運動しないでいると筋肉が減ってしまい、メタボや寝たきりになってしまうリスクが高くなるということで、サルコペニアという言葉も言われていましたが、最近では「セダンタリー」という言葉も出てきています。

 

セデンタリーは、英語でいうとsedentary で「座りがち」という意味ですが、座って長時間仕事をする人は、心臓病や脳卒中、ガンのリスクが高まると言われています。

 

これは単純に運動不足のせいじゃない?と思われるかもしれませんが、実は、ジョギングやエクササイズ、ウォーキング等をしていても、それ以外の時間ずっと座っている人は病気のリスクが高まるという報告があります。

 

2012年に発表されたオーストラリアでの研究では、座っている人が1日11時間に及ぶ人は、1日座っている時間が4時間未満の人に比べると、3年以内に脂肪するリスクが1.4倍になっているといいます。

そして、健康的な生活を送るためには、座っている時間を少なくすることも大切だと結論づけています。

 

(参考:Arch Intern Med. 2012 Mar 26;172(6):494-500 "Sitting time and all-cause mortality risk in 222 497 Australian adults.")      http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22450936 米国では、sitting is "new smoking" というスローガンまで登場して、立って仕事をすることができる "standing desk" などが注目されてると言われています。 立ったり座ったりを頻繁にして、マイオカインの分泌を高め、将来の病気のリスクを減らしていく健康法もこれから重要になってくるのでしょう。