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高齢者に接種が進められている肺炎球菌ワクチンとは

最近、テレビで肺炎球菌ワクチンの接種を高齢者に勧める告知が流れていたりします。

肺炎はわが国の死亡原因の第3位となっていて、日常的に生じる成人の肺炎のうち1/4~1/3は肺炎球菌が原因と考えられています。
肺炎球菌は主に気道の分泌物に含まれる細菌ですが、唾液などを通して飛沫感染し、気管支炎や肺炎、敗血症などの重い合併症を引き起こしたりします。

そこで特に高齢者に肺炎球菌ワクチンの接種が勧められているのです。

既に平成26年10月1日から、高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンが定期接種となっていて、平成28年4月1日から平成29年3月31日までは以下の方が対象となります。

1.経過措置の対象となる人

65歳となる方 : 昭和26年4月2日生 ~ 昭和27年4月1日生
70歳となる方 : 昭和21年4月2日生 ~ 昭和22年4月1日生
75歳となる方 : 昭和16年4月2日生 ~ 昭和17年4月1日生
80歳となる方 : 昭和11年4月2日生 ~ 昭和12年4月1日生
85歳となる方 : 昭和 6年4月2日生 ~ 昭和 7年4月1日生
90歳となる方 : 大正15年4月2日生 ~ 昭和 2年4月1日生
95歳となる方 : 大正10年4月2日生 ~ 大正11年4月1日生
100歳となる方 : 大正 5年4月2日生 ~ 大正 6年4月1日生

期間内に接種しなかった場合は、定期接種の対象とはなりません。

また60歳から65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方も対象となっています。


肺炎球菌による感染


肺炎球菌は、主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染しますが、日本人の約3~5%の高齢者では鼻や喉の奥に菌が常在しているといわれています。
これらの菌が何らかのきっかけで進展することで、気管支炎、肺炎、敗血症などの重い合併症を起こしてしまいます。

肺炎球菌ワクチンで、肺炎球菌感染症を予防することはできるのか?

肺炎球菌には、93種類の血清型があります。
平成26年10月からの定期接種で使用される「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」は、そのうちの23種類の血清型に効果があります。
そして、この23種類の血清型は、成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の約7割を占めるという研究結果があります。

ただし、肺炎球菌感染症の予防接種は、すべての肺炎を防ぐものではありません。
また、MERS(中東呼吸器症候群)などウイルスによる感染症や、肺炎球菌以外の細菌による感染症は、肺炎球菌ワクチンでは予防することができません。

インフルエンザにかかると細菌性肺炎が起こりやすくなるのはなぜ?

これは、インフルエンザウイルスによって気道上皮細胞が破壊されるため、細菌が肺に侵入しやすくなるためです。
インフルエンザウイルスによって空気を運ぶ管の表面にある気道上皮細胞が破壊されることにより細菌が肺に侵入しやすくなってしまうのです。


肺炎球菌ワクチンは、2種類ある

肺炎球菌ワクチンには2種類あります。
それは13価結合型肺炎球菌ワクチンと23価多糖体肺炎球菌ワクチンです。
13価結合型肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌感染症の原因となる頻度が高い13種類の肺炎球菌を型別に培養・増殖・殺菌後、抽出・精製して作ります。
23価多糖体肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌感染症の原因となる頻度が高い23種類の肺炎球菌の各々を培養・殺菌後、抽出・精製して作ります。

13価結合型肺炎球菌ワクチン接種後はT細胞・B細胞の両者が活性化されますが、 23価多糖体肺炎球菌ワクチン接種後はT細胞は活性化されません。
したがって、13価結合型肺炎球菌ワクチンは長期免疫を獲得しますが、23価多糖体肺炎球菌ワクチンは5年くらいの免疫しかなく、5年以上経ったときに再び摂取することになります。

2種類の肺炎球菌ワクチン接種のどちらも受けたことがない場合には、13価結合型肺炎球菌ワクチン接種を受けてから半年~1年(最短は8週)後に、23価多糖体肺炎球菌ワクチン接種を受けます。
23価多糖体肺炎球菌ワクチン接種を受けたことがある場合には、23価多糖体肺炎球菌ワクチン接種を受けてから1年以上後に、13価結合型肺炎球菌ワクチンを受けると良いでしょう。