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たかがお茶、されどお茶、缶入り煎茶の試練

今でこそ、缶入りの緑茶はいろいろな種類が販売されていますが、世界初の缶入り緑茶を開発したのは、お~いお茶で有名な伊藤園です。

 

お?いお茶 緑茶 PET 2L×6本

お?いお茶 緑茶 PET 2L×6本

 

 

お茶はただで飲むもの?

そもそも、どこかへ出かけるとたいていは、おもてなしはお茶です。また会社などの食堂でも、水やお湯に加えて、お茶はタダで飲めるようになっています。
つまり、高級緑茶ならいざしらず、お茶は水と同じでただで飲むものというイメージがあるものです。
缶入り緑茶が販売された当初は、「そもそもお茶なんかタダで飲むものでしょ! それを缶に入れて売るなんて頭おかしいんじゃないの?」というような消費者の反応もあったとか。

同じものでもコピーで変わる

タダで飲めるものを売ったって、売れるわけがない!
こんな常識をくつがえしたのがネーミングでした。
マーケティングにおいて、ネーミングやコピーがいかに大事かということがわかるエピソードでもあります。
緑茶や煎茶という名称だと、やはりタダのものをわざわざお金出して買うというような印象になってしまい、煎茶にいたっては「まえちゃ」と読まれるぐらいの知名度でもありました。
これに、CMで認知度があった「お~いお茶」というコピーを入れて、弁当と一緒に売れる商品としてコンビニの支持を得て、やがて普及していきます。

お茶を缶入りにするのに超えなければならない2つのハードル

お茶を缶入りにするというと、なんだ簡単じゃないか。急須でお茶を入れて、それを缶入りの容器に注ぐだけだろと思うかもしれませんが、物事はそう簡単ではありません。
酸素の問題と熱の問題という大きな壁があります。

酸素の壁

緑茶は空気中の酸素に触れると、緑茶成分のカテキンが酸素と反応して変色してしまいます。
急須から入れて、すぐに飲むのでしたら問題になりませんが、缶入りのものですと長期間保存されます。缶詰の最後にフタをするときに、どうしても微量の酸素が入ってしまいます。
還元剤としてビタミンCなども入れて試行錯誤がありましたが、ビタミンCは入れすぎるとお茶の味がすっぱくなってしまうという致命的な欠点があります。
結局は、いかに缶の丈夫にフタをつけるとき酸素を入れないかということになりましたが、ヒントとなったのは、炭酸飲料の製法でした。
炭酸飲料では、フタをする直前に缶内部に炭酸ガスを噴射して酸素を追いだしています。
お茶では炭酸を入れるわけにはいきませんが、炭酸の代わりに、体に害がなく水に溶けにくいちっさを噴射することで、缶入りのお茶から酸素を除くことができるようになりました。

熱の壁

お茶は缶入りにする歳に、加熱殺菌されます。加熱殺菌されると、香り成分が変質してしまい、芳ばしいお茶の香りが失われてしまいます。
そこで、殺菌工程に十分に耐えられるよう茶葉の選定がされ、多くの試行錯誤を経て、ようやく加熱殺菌されても大丈夫な茶葉を見つけることに成功します。

たかがお茶ですが、そこにはいろいろなノウハウや開発秘話が隠されているものです。