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ボブ・ディラン(ノーベル文学賞受賞)の心に響く名言と、ハルキストの憂うつ

2016年のノーベル文学賞は、またもや村上春樹ではなく、なんとシンガソングライター・歌手であるボブ・ディランが受賞した。
「風に吹かれて」をはじめ、反戦などの思想を歌い、公民権運動やベトナム戦争に揺れる若者たちの心をとらえてきたメッセージ性が評価されたのであろう。

日本では、ちょっと古くはなりますが、 ♪君とよくこの店に来たものさ~ で始まるガロの「学生街の喫茶店」の歌詞の中にも、♪片隅で聴いていた ボブ・ディラン」と歌われるほど人気だったボブ・ディラン
「風に吹かれて」は、朝日新聞の朝刊にも訳を含めて紹介されていたので、1番だけでなく、3番まで紹介してみる。


風に吹かれて(Blowin’ In The Wind)

How many roads must a man walk down
 人はどれ位の道を歩めば
Before you call him a man?
 人として認められるのか
How many seas must a white dove sail
 白い鳩はどれ位海を乗り越えれば
Before she sleeps in the sand?
 砂浜で休むことができるのか
How many times must the cannon bolls fly
 どれ位の砲弾が飛び交えば
Betore they’re forever banned?
 永久に禁止されるのか
The answer, my friend, is blowin’ in the wind
 友よ答えは風に吹かれて
The answer is blowin’ in the wind
  風に吹かれている


How many years can a mountain exist
山は海に流されるまで
Before it’s washed to the sea?
 何年存在できるのか
How many years some people exist
人々は何年経てば
Before they’re allowed to be free?
 自由の身になれるのか
How many times a man turn his head
 見ないふりをしながら
Pretending he just doesn’t see?
 人はどれくらい顔を背けるのか
The answer, my friend, is blowin’ in the wind
 友よ答えは風に吹かれて
The answer is blowin’ in the wind
  風に吹かれている

How many times must  a man look up
人はどれくらい見上げれば
before he can see the sky?
 空が見えるのか
How many ears must one man have
 人にはどれくらいの耳があれば
Before he can hear people cry?
 人々の悲しみが聞こえるのか
How many deaths will it take till he knows
どれ位の人が死んだら
That too many people have died?
 あまりにも多くの人が亡くなったと気づくのか
The answer, my friend, is blowin’ in the wind
 友よ答えは風に吹かれて
The answer is blowin’ in the wind
  風に吹かれている

まさに、今の全世界、特に指導者たちに、そのまま問いかけられていることなのかもしれません。
平和の白い鳩は、あとどのぐらい飛び続ければ、休むことができるのであろうか。

ボブ・ディランは、既に21歳という若い年齢でこの歌を作っている。
そして、次のようにコメントしている。

この歌についちゃ、あまり言えることはないけど、ただ答えは風の中で吹かれているということだ。答えは本にも載ってないし、映画やテレビや討論会を見ても分からない。風の中にあるんだ、しかも風に吹かれちまっている。
(中略)
世の中で一番の悪党は、間違っているものを見て、それが間違っていると頭でわかっていても、目を背けるやつだ。俺はまだ21歳だが、そういう大人が大勢いすぎることがわかっちまった。あんたら21歳以上の大人は、だいたい年長者だし、もっと頭がいいはずだろう。

21歳で、どうしてよいかわからない、誰も解決策を見つけられないでいるということを、風に吹かれているとしているのでしょう。

21歳にして、これだけの歌を作ったのだから、天才といえば天才なのかもしれません。
そんなボブ・ディランは、詩人らしく、いろいろな名言を残しています。

ボブ・ディランからのメッセージ

【恋で悩んでいる人へ】

恋をしながら賢くなんてなれやしない。
恋やセックス以外にも重要なものがあるんだ

【やる気が起こらない人へ】

日々生まれ変わるのに忙しくない人は、日々死ぬのに忙しい。
何もかも失ったって、まだ未来だけは残っている。
たとえ自分という存在が、どんな人間であろうとも。目的に到達したとは思っちゃいけない。いつもどこかに向かう過程だと思うことだ。
泳ぎ出した方がいいよ。そうでないと石のように沈んでしまう。
人生に後退は無い。あなたの人生で起こること全てが、あなたをゴールへと進ませている
やらなきゃいけないことをやるんだ。そうすればうまくいくさ。

【迷いくじけそうになった人に】

どんなレッテルを貼られてもかまわない。歌うためならね。
ブーイングは素敵だ。逆に、やさしさが人を殺す場合がある。
ぼくにはヘンな癖があるけど、捨てるなんて事はしなかった。だってそれがぼくの個性なんだから。
僕は何も定義しない。美も愛国心も。僕はそれぞれをありのままで受け止める。こうあるべきだという既存のルールを無視して。
金がどうした? 朝起きてから夜寝るまでの間にやりたいことをやったら、その人は成功者だ
私が自信を持って出来ることは、自分自身であること。たとえ自分という存在が、どんな人間であろうとも。
ぼくは、皆と同じでありたいとも、好かれたいとも思わない。
未来への希望だって?私は常に恐れを抱きながら未来のことを考えてきたよ
あなたの心に従ってゆきなさい。そうすれば最後にはきっとうまくいく

【人間関係に悩む人へ】

良い教師を雇うと高くつく。悪い教師はもっと高くつく
君の立場になれば、君が正しい。僕の立場になれば、僕が正しい
君が僕と同じように感じたり、理解したり、君が僕のようになるなんて望んではいない。
僕が本当にしたいことは、君と友達になることなんだ。

【世の中に不満を持っている人へ】

自由なものなど何もない。鳥さえも空につながれている。
世の中のあらゆる真実が積み重なってひとつの大きなウソになる。
すべての美しいものの陰には、何らかの痛みがある。
時間を止めようと人はいろんなことをする。しかし、そんなことはできない。
天才を天才たらしめるのは、本能だと思う。
言葉はいろんな意味を持ち、10年後には違う意味になる。
ぼくが歌を書き始めたのは、どこにもうたいたい歌が見つからなかったからだ。見つけていれば自分で作るようにはならなかった

【社会に疑問をもっている人へ】

最低の犯罪者とは、間違ったものを目にし、それが間違っていることに気づいたにもかかわらず、そこから目を背けてしまう人たちだ。
ヒーローとは、自分の自由に伴う責任を理解している人のことだ。

さて、あなたのお気に入りとなった、ボブ・ディランのメッセージはあったでしょうか。


ハルキストの憂うつ

今回は、文学者ではなく、シンガーソングライター・歌手であるボブ・ディランノーベル文学賞を受賞した。
ということは、裏を返せば、毎年話題になってくる村上春樹さんの強力な対抗馬がいなかったとも言えるのではないでしょうか。
毎年毎年、ノーベル賞受賞を逃して、もうノーベル賞を逃して残念というマゾ体質ができあがってしまったのではないか、受賞できないのが一種の快感みたいすら見えてくるハルキストたち。もし受賞したときの喜びも格別なものになるのだと思います。
しかし、今回のボブ・ディランの受賞で、村上春樹さんの作品は、海外での評価が高いにもかかわらず、ノーベル賞選考委員の中では評価が低いのかもしれません。
最近の傾向をみると、メッセージ性が強いもの、思想があるものなどがノーベル文学賞を受賞していますが、村上春樹さんの作品は、大衆受けはするが、メッセージ性に乏しいというレッテルを貼られてしまっているところがあるのかもしれません。

もっとも、村上春樹さんの作品は日本語の作品であり、ノーベル賞の選考委員は当然英訳されたものを読んでいるのでしょうから、きちんと正確にニュアンスまで翻訳されていなければ、村上春樹さんの作品の本当の良さまで伝わっていないということも考えられます。

いずれにしろ、今回のボブ・ディランの受賞は、文学者でなくても受賞する、メッセージ性が強烈なことも選考基準というような考え方を強く打ち出しているような気がする。別に何も文学賞なのだから、シンガーソングライター・歌手を選出することもなく、反戦などのメッセージ性というのであれば、ノーベル平和賞を受賞させるほうが、よほどメッセージ性がしっかりと世界に伝わると思うのだが。
対抗馬があまりいなくても、文学者以外から受賞者を選ぶというノーベル賞選考委員は、よほど村上春樹がお嫌いとみえる。