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歯の治療法を変える 『歯の絆創膏』 の技術

歯科技術は、年々進歩を遂げていますが、いくつもの最新技術が開発されています。


以前の虫歯の治療では、振動を与え歯を削ったり、詰め物を入れたり、場合によってはかぶせ物を固定するために健康な歯まで大きく削り取ったりしていました。

ところが歯科治療の進歩とともに、エアーベアリングを使ったタービンで歯を削るようになり、見た目も自然に近い詰め物が使われたししています。

現在、歯科治療開発で注目を浴びているものの1つに、『歯の絆創膏』があります。


歯の絆創膏は、近畿大学生物理工学部の本津茂樹教授と大阪歯科大学吉川一志教授の共同開発により開発された曲げられるハイドロアパタイトシートです。傷口を絆創膏で覆うように、むき出しになった象牙質を絆創膏のように保護する治療法になります。

ハイドロキシアパタイトは、歯や骨の成分として知られ、生物が作り出せる数少ない無機質です。カルシウムにリン酸基や水酸基をもっていて、生体成分のため体に馴染みやすい性格をもっています。
従って、人工骨や人工歯根といった医療分野で応用されてきたものです。

それじゃ、ハイドロキシアパタイトで歯のインプラント治療を行ったらという発想がありますが、これは粉末のハイドロキシアパタイトを焼いて結合して作っていきますが、焼き物と同様に硬いのですが、衝撃などで壊れてしまうという致命的な欠点がありました。

そこで硬くて衝撃に強い金属のインプラントの表面に、生体に馴染みやすい薄い膜状のハイドロキシアパタイトをコーティングすることで、金属の強さに加え、生体への馴染みやすさを兼ねた新しいインプラント法が開発されました。

しかし理論的にはコーティングすることができても、膜にある程度の厚さがあると、やはり亀裂が入ったり、金属からはがれてしまう問題があり、極薄の薄さが求められました。その極薄はどのくらいの厚さというと、1000分の1㎜以下の厚さになります。この暑さだと、膜が金属に強く固着し、金属からの剥離や亀裂の問題が解決できます。

そこで強い紫外線レーザー光を当てることにより薄膜を作る「レーザーアブレーション(PLD)法」と呼ばれる特殊技術を使うことで、ハイドロキシアパタイトの超薄膜化に成功しました。
このハイドロキシアパタイトの超薄膜は、 『歯の絆創膏』として知覚過敏症の治療や、エナメル質の保護、強化を始め、白く着色したシートを貼って美しく見せたり、ホワイトニング後の歯面への貼付で「後戻り」を防止することにも応用できます。

 

また、人工の血管や皮膚、角膜などを再生する再生医療用細胞シートの開発にも応用が期待されています。