『考えるな、感じろ!』は、天才のための言葉
Don't Think. Feel !
この言葉のもつ意味は、そのまま、考えるんじゃない、五感で感じるんだということになる。
つまり、思考ではなくフィーリングで物事を捉えて、物事の本質を見抜けという意味でよく使われるフレーズです。
どんな時に使われるのかというと、理解が難しいことや理解不能に対して揶揄として用いたり、考えてもわからないアート等に対して使ったりもします。
これって、日本のアニメかなんかから来ているのかと思いきや、元はカンフー映画の『燃えよドラゴン』から来ていて、劇中で冒頭に出てくるブルース・リーが言った台詞の中に、「Don't Think. Feel !」というものがあり、そこから来ています。
これが日本語訳されて、「考えるな、感じろ!」、「考えるな、感じるんだ!」ということになり徐々に広まっていきました。
考えていてはチャンスを逃す?
目の前にきたチャンスというものは、あれこれ考えていたら、あっという間に過ぎ去ってしまいます。
先日も、日本サッカー代表監督のハリルホジッチ監督が
「チャンスは新幹線ほどの速さで過ぎ去ってしまう。 その一瞬のチャンスを逃してはいけない」
と選手に伝えたそうです。
しかし普通の人間は、あまり根拠のない直観ばかりに頼って、考えるより前に行動すると、無駄も多く失敗も多くなります。
かといって、常にあれこれ考え、とるにたらないリスクまでじっくり考え思い悩んでいると、好機を逸してしまうということも事実です。
考えるな、感じろ!は、天才だからこそできること?
例えば野球でいうと、普通の打者は、次にピッチャーが投げてくる球種やコースをしぼって待つことが多いと言われています。
ストレートなのか、カーブなのか、フォークなのか、内角高めにくるのか、外角低めにくるのか。
球種で絞るタイプと、コースで絞るタイプの打者がいると思いますが、大抵は2ストライク取られるまでは、このどちらかか、両方で絞って待っているケースが多いでしょう。
ところが天才打者になると、球がきた瞬間、ああ、これは外角低めのフォークだ! なんて考えないで、そう分析する前にもう自然と体が反応して、上手く打ち返してしまいます。
これは、単に山勘が当たったというレベルのものではなく、毎日毎日、いろいろなケースを想定して、多くの球を打ってきて、あらゆることに対応できるまで練習してきた賜物であると言えるでしょう。
先日、テニスの錦織選手が優勝し世界ランキング4位となりましたが、ビッグサーバーと言われる2mを超える長身から角度のあるサーブを打ってくる選手と多く対戦していました。
速いだけでなく、長身から繰り出されるサーブは角度もあり、高くはずんでくるので、なかなか返すのはひと苦労です。コースぎりぎりに決められたりすると、もうごめんなさい!の世界です。
それでも錦織選手はセットが進むにつれ、徐々に相手選手のサーブのコースを読んでいました。
これは、錦織選手の試合の中で培ってきた感としか言わざるをえないでしょう。
だって、次に相手がどのコースを狙ってくるかなんていうのは、理屈ではないのですから。
何が言いたいのかというと、『考えるな、感じろ!』でいう、感じろということに関しては、やはりある一定レベルに達した人ではないと、感じるという域には達しないということなんだと思います。
そのレベルに達していない人であれば、単なる山勘になってしまいます。いろいろと経験を積み重ねた上で、いろいろなケースが頭に入った上で、考えなくても正解がでてくるレベルまで鍛え上げられた賜物、それが、『考えるな、感じろ!』で感じることができる能力なのではないだろうか。