葉の色にみる成分の違いの季節変動
季節によって変わっていく葉の色
紅葉の季節になり、赤色に色づく紅葉は、とてもきれいで日本の情緒をかもしだしています。
まずは目の保養に・・・
植物の葉というと、一番といきいきしているのが芽が芽吹いたあとの新緑の季節。
木々の芽が芽吹くと、若葉色という言葉があるように、緑のあおあおとした葉が街を彩ります。
葉の緑の色素はクロロフィルです。クロロフィルは太陽の光から赤と青の光を吸収しますので、私たちには緑に見えます。
クロロフィルは光を吸収し、その光エネルギーを使って二酸化炭素と水から、酸素と炭水化物を作っています。
このクロロフィルは、非常に不安定で太陽の光にあたりどんどんと分解していますので、植物はいつもクロロフィルを作っているのです。
葉に含まれているのはクロロフィルだけではありません。カロテンという色素もあります。カロテンは青緑と青の光を吸収するので、黄色に見えます。
しかし、一般に普通の葉はクロロフィルを多く含んでいるので、赤・青・青緑の光を吸収していることになるので、結果的には緑に見えるということになります。
もう一つ、葉にはアントシアニンという色素が含まれています。このアントシアニンは、青、青緑、緑の光を吸収するので、私たちには赤く見えます。
アントシアニンは葉の細胞液にあり、細胞液に含まれる糖とたんぱく質の反応によってできてきますので、アントシアンができるための条件は、糖の濃度が高くなるということになります。
1年の中でアントシアニンの量も違ってくる色づく葉
さて、夏の強い日差しでは、クロロフィルがどんどん作られていて、葉も新緑、あおあおとしています。
七夕のころ、青葉城恋唄の歌詞にもあるように、
♪青葉通り 薫る葉 緑~ 思い出は かえらず~
夏の葉は、鮮やかな緑ということになります。
クロロフィルはどんどん糖もつくっていきます。
しかし、秋になり、日が短くなり気温も下がると、葉と枝の軸の間にコルク膜でできてきてしまいます。そのことにより葉へ栄養分が届きにくくなり、クロロフィルがうまく作られなくなってきます。そうするとクロロフィルによる緑色はどんどん消えて行ってしまい、カロテンがあれば葉は緑から黄色へとその色を変えていくことになります。
一方、コルク膜によって、糖の移動もブロックされるため、葉から枝のようへ糖分が出ていかず、葉の糖分濃度が上るという結果になり、それによりアントシアニンの合成が盛んになっていきます。
これにより、秋の葉が、赤や黄色に色づいていくことになります。
このように、たった1枚の葉でも、季節によりその色素成分や糖をとってみても、だいぶ成分が違っていることがわかります。
赤ブドウ葉など、葉に含まれるアントシアニンによる有用性を期待するようなものにとっては、いつの季節の葉なのかということも、重要になってくるでしょう。