水木しげるが気に入っていた、ねずみ男という憎めないキャラ
ある時は味方、ある時は敵、人間の汚さを正直に表していた、ねずみ男
水木しげるさんの代表作であるゲゲゲの鬼太郎。
ゲゲゲの鬼太郎が正義のヒーローだとすると、ねずみ男は悪役とまではいかないが、まあ善悪混合したトリックキャラ的存在なのではないだろうか。
目玉おやじとねずみ男の会話の中に次のようなシーンがあります。
目玉おやじ 「おいねずみ男 おまえ敵なのか味方なのか」
ねずみ男 「いまは味方だ」
目玉おやじ 「そんなふまじめな妖怪ってあるかね」
”いまは”味方だ”と返答したねずみ男に対して、目玉おやじは、ふまじめな妖怪といっているが、人の気持ちはいつ変わるともわからない。なかなかの正直者ではないだろうか。
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ゲゲゲの鬼太郎は、ねずみ男がいたから面白かった
アニメや漫画というと、たいていがヒーローやヒロインが目立つものですが、ゲゲゲの鬼太郎に関しては、ねずみ男の言動のほうが記憶に残っているという人もいるのではないでしょうか。
ねずみ男は、ねこ娘とともに設定としては、半人半妖怪、つまり半分人間で、半分妖怪。
なんとも中途半端な立ち位置です。はっきり言えば、人間でもなければ、妖怪でもない。いわばある意味阻害された育ちとも言えるでしょう。
鬼太郎の悪友だとして、自称怪奇愛好家、怪奇研究家としているが、お調子者で場合によっては鬼太郎になりきったりすることもある。
ねずみ男のことを悪く言うと、金と女性のことしか頭に無く、目的達成のためには手段を選ばないとも言える。
鬼太郎を親友だと言ってはいるものの、自分の命や金儲けのこととなると平気で裏切る。強い者に絶対服従するのが当たり前という考えがある。
外見は、乞食風のねずみ男と、ルパン三世にでてくる抜群のスタイルと運動神経をもつ峰不二子は、容貌こそ正反対でありますが、立ち位置や、自分の利益を優先するという意味では通じるところがあるような気がします。
分がいい方についてしまう、長いものには巻かれろ、なんか気の弱い日本のサラリーマンの心の中を表している面もあるのかもしれません。
半人半妖怪ということもあって、なんとなくそういった人間の弱い部分が、そのまま表に態度としてでてきてる部分に、ねずみ男にシンパシーを覚えてしまうのかもしれません。だから、自身の目的のため、時には鬼太郎を殺すために手を尽くしたり、毒を盛ったり、ウソをついて敵の元へ誘き出したり、奈落の底に突き落としたり、自殺へ誘導したりとひどいことをやっているのにもかかわらず、それでもなんとなく憎めないキャラになっている。
でも、こんな悪行をしても、鬼太郎やねこ娘に懲らしめられこそすれ、最終的には許されてしまう。
それは、悪一色ではない、ねずみ男の善の部分が見えるからではないだろうか。
金には汚いねずみ男ではあるが、羽振りが良い時には仲間の妖怪達に食事をおごったり小遣いを渡したりと気前がいい一面もある。
貧富に関して独自の美意識があるらしく、一文無しになった際、鬼太郎親子がお茶漬けを食べさせてくれたことに関して、次のように言っている。
「金持ちがおごるステーキより、貧乏人が食わせてくれるお茶漬けの方が何倍も価値がある」
また、子供が好きだったり、やさしい面もあり、時には勘定なしに素直に協力し、鬼太郎のために尽力することもある
そういう思いをしてきたことをわかってるから、憎めないのかもしれません。
ゲゲゲの鬼太郎の中では、人間の本音であるとか、弱さであるとか、ヒーローに対して、人間ってそんなに立派でもないという部分を、なまなましく出しているのが、ねずみ男なのでしょう。