黄金の壁 vs 黄金のじゅうたん 東京の街に広がるイチョウ並木の妙
街中に現れた黄金のじゅうたん
秋になると、私たちの目を楽しませてくれるのが、紅葉です。
紅葉というと、ほとんどの人がいろは坂を代表としたモミジの鮮やかな紅葉を連想するのではないでしょうか。
ところが、イチョウの紅葉もとても素敵で秋らしい風景を醸し出しています。
モミジの赤、イチョウの黄、葉の色が変わるしくみ
落葉樹の葉の中には、2種類の色素が存在しています。1つは、葉本来の緑色を出している葉緑素(クロロフィル)、そしてもう一つがカロチノイドです。
このカロチノイドは本来黄色の色素です。
普段は、カロチノイドは葉緑素の補助的な役割をしていて、葉が光合成をおこなう時に光の吸収を効率的に行えるように補佐する役割を果たしています。
普段は、緑色をした葉緑素(クロロフィル)の方が優位性がある色素として存在しているので、春や夏の葉は緑色をしています。
ところが落葉樹は、秋になると冬にむかい葉を落とすため、光合成をストップしてしまいます。そうするとクロロフィルが分解されなくなって、もう一つの色素であるカロチノイドの色素が表に出てくることになります。
イチョウの紅葉はこれで説明できるのですが、それじゃなぜモミジは赤くなるのかというと、光合成で作られた糖分が紫外線を浴びることによって赤色の色素であるアントシアニンを作り出すためと言われていますが、このメカニズムについては、正直はっきりしたことがわかっていません。
計算しつくされた神宮のイチョウ並木
東京のイチョウ並木として有名なのは、新宿区にある明治神宮外苑のイチョウ並木ですね。
このイチョウ並木は300mも続くのですが、奥にある聖徳記念絵画館が美しく見えるように計算つくされて設計されています。
実は青山通りから聖徳記念絵画館へ向かっては、イチョウ並木となっている道路は緩やかな坂道になっています。そこで、イチョウ並木の奥にある聖徳記念絵画館がよりくっきりと映るようにイチョウの高さを少しずつ低くしてあるのです。これが道路の坂道の傾斜と相まって、道の両側の黄金の壁に立体的な奥行きを感じさせてくれます。
もう一つ、東京のイチョウ並木で有名なのは、立川の昭和記念公園です。公園のイチョウ並木の下に広がる黄金のじゅうたんは、一見する価値があります。