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ピロリ菌の働きを抑え、発癌性を弱める酵素

胃で悪さをすると言われているピロリ菌は、その正式の名前はヘリコバクター・ピロリです。
ピロリ菌なんていうと、なんか♪ピロリ、ピロリ~といったイメージで可愛い感じもしますが、そんな名前にごまかされてはいけません。

ピロリ菌は、どうしてピロリと言うのか?

ヘリコバクター・ピロリ「ヘリコ」とは、「螺旋(らせん)」、「旋回」という意味を持っています。
ヘリコプターのヘリコも、旋回という意味につながっています。

ヘリコバクター・ピロリ」の「ヘリコ」はわかったが、それじゃ、「バクタ―」は何かというと、「バクテリア(細菌)」のバクタ―です。
そして、「ピロリ」は、胃の出口である幽門のピロルスに由来しています。

ヘリコバクター・ピロリは、胃の幽門部で初めて見つかったことから、この名前がつきました。

実は酸素に弱かったピロリ菌

ピロリ菌は、嫌気性菌であり、酸素が存在する大気中では発育せず、酸素にさらされることにより徐々に死滅していってしまいます。
ピロリ菌は乾燥にも弱い菌で、数本のべん毛を持って胃の中を移動していきます。

ピロリ菌は、酸素があると死滅していってしまい、また乾燥にも弱いのですが、胃の強酸には強い特徴があります。
どうして胃酸の中で生育していけるのかというと、胃の中にある尿素アンモニア二酸化炭素に分解して、そのアンモニアによって胃酸を中和して、ピロリ菌自身の周りの酸を中和しているのです。

ピロリ菌の毒素

ピロリ菌は胃壁につくと細胞を弱めてしまう毒素を出します。
ピロリ菌に対しては白血球が集まってきますが、ピロリ菌と白血球の戦場となった胃粘膜は消耗し、炎症を起こして胃炎になってしまいます。
ピロリ菌は、胃壁を傷つけて、その結果、胃を守っている粘液が減ってしまいます。
その結果、胃は酸の攻撃を受けやすくなり、胃炎や消化性潰瘍ができる原因になってしまいます。

ピロリ菌の働きを抑える、SHP1(酵素

最近になって、東京大教授らの研究チームが、ピロリ菌が出すタンパク質の発癌性を弱め、胃がんの発症を抑える酵素を発見したとして、ネイチャーに発表しています。
ピロリ菌が胃の粘膜につくと、針を刺しこんで発癌性のあるタンパク質を注入します。

まるでスズメバチみたいな奴らです。
このタンパク質は、細胞を増殖させる酵素である「SHP2」と結びついて、異常に活発になることから、癌の発症が促されてしまいます。

研究では、別の酵素である「SHP1」がピロリ菌タンパク質とSHP2の結合を妨げることを人の胃の細胞等を使った研究で解明しました。
SHP1は、ピロリ菌の働きを抑え、発癌性を弱くすることが期待されています。