50代のおっさんが、20代の女性の視点で商品開発を考えるには、どうすればよいか
製品の説明などで「お客様のために」というような言い回しを見かけたり、聞いたりします。
どういったことなのでしょうか。
本当にお客様のためなのか
例えば、製品の説明などで、「この機能はお客様のために追加しました。」とか、「これは利用者のために新たに付加した機能です。」といった説明がある場合があります。
顧客満足度を考えてということを強調したいのでしょうが、本当にお客様のためになっているのだあろうか、本当に利用者がその機能を望んでいるのだろうか。
時として、メーカー側の一方的なゴリ押し、無理強いになっていないだろうか。
メーカーはきれいごとを言いますが、ほとんど「お客様のために」と言っておきながら「お客様にこうしてもらいたい」という自分たちの願望を無理に押しつけているところが多少はあると思います。
「お客様のために」と「顧客の立場に立って」
「お客様のために」という言葉と似た言葉に、「顧客の立場に立って」という言葉があります。
これは非常に似ているような言葉ですが、ぜんぜん違う言葉です。
重要なのは、「立場」というWordです。
「立場」すなわち「視点」が違ってきているのです。
顧客主義の勘違い
セブン-イレブンの鈴木会長が『顧客主義の勘違い』ということを指摘されています。
「顧客の立場に立って」ということは、そのまま顧客目線で、顧客ファーストということになりますが、「お客様のために」というのは、必ずしもそれが「顧客の視線」ではありません。
つまり、「もし自分だったら嬉しい」という「自分目線」が入っています。
極端な例を出すと、ストーカーになるのかと思います。
ストーカーにまとわりつかれた方は、「気持ち悪い」、「怖い」、「やめてほしい」と思っているにも関わらず、ストーカーをしている方は「あなたのために」となるわけです。
顧客の立場に立つには
顧客の立場に立つということは、言葉でいうのは簡単ですが、実際に顧客主義の勘違いをせずに、しっかりと顧客の立場に立つというのは難しいことです。
それには、自分の考えや気持ち、時には常識さえも取り除いて、純粋にとことん相手の立場で考える想像力が必要になります。
自分が、どんな状況で何を考えて、その時、何をしたいと思うのか。これを相手の年齢・性別・立場・状況・気持ちなどを具体的にかつ、できるだけ正確に想像する能力が必要とされます。
こうした想像力は、幅広い知見、多くの経験、物事を多角的にとらえる洞察力、物事の見えない部分まで考える思考力が必要です。
相手の気持ちを考えるとは
相手の気持ちを考えるのは、そう簡単なことではありません。
それこそ自分の視点で「自分だったら」と考えてしまったら、先ほどのストーカーの話ではありませんが、似たようなことになってしまいます。
「自分だったら」と考えるのは簡単ですが、自分ではない他人だからこそ、想像するのが難しいのです。
50代のおっさんが、20代の若い女性の視点で考えるなんて・・・
相手の気持ちになって? 相手の視点で?
そんなこと言われたって、50代のおっさんが、どうやって20代の若い女性の気持ちや視点で物をみることができるんだよ! と言いたくなってしまいます。
残念ですが、もちろんそんなことはできません。
でも、近づくことならできます。
たとえ50代のおっさんだったとしても、20代女性のツイッターやブログなどを見たり、直接20代の女性と話し、いろいろ教えてもらえば、少しはジェネレーションギャップや性差といった壁を壊していくことができるでしょう。