社会の発展を妨げる困ったモンスターたち
モンスターというと、モンスターピアレントなどの言葉からも推測できるとおり、クレーマーのことです。
そしてシルバーというのは、定年を迎えて暇を持て余している団塊の世代の人たちに、意外とこうしたクレーマーが多いことから、『シルバーモンスター』と呼ばれています。
なんだ、老人のわがままなクレームだろ? なんて思ったら大間違いです。
今や、団塊の世代の人たちのクレームが社会活動の妨げになっていて、大きな社会問題になっているのです。
暴行で検挙された高齢者の数は、20年前の約40倍にもなっているのです。
シルバーモンスターが生まれる背景
どうしてシルバーモンスターが生まれるのかというと、疎外感や孤独感からかまってほしいというのがあり、それが満足されないと怒りの導火線に火がついてしまうのです。
こんな例があります。
病院の持ち合い室で、突然70代とみられる男性が、大声を張り上げた。
見ると、その横でなきべそをかく幼児が母親に抱かれている。
職員が「大丈夫ですか?」と声をかけると、その男性は「大丈夫なわけないだろう! こんなに泣いているじゃないか!」と激高したといいます。
さらに、「孫に何かあったらどうするんだ! 責任者を呼べ!」と怒鳴りまくったそうです。
その幼児はというと、定期検診で来院していて体調が悪いわけでもなく、泣いていたのは待合室を歩き回っているうちに転んでしまったからで、見ると外傷もなく、その男が怒鳴っている間には泣き止んでいました。
孫と娘に付き添っていたその男性は、「自分が頼りにされていること」に満足感を覚えていたのですが、そこへ「孫が泣く」という事態が発生し、それが許せなかったのです。
もっとも厄介なのは団塊モンスター
前述の高齢の男性は、まだ孫や娘かわいさに感情が爆発してしまったという点ではかわいいものですが、中には厄介な団塊モンスターというモンスターがいるのです。
それが、団塊モンスターといわれるものです。
今まで、企業戦士とした仕事に没頭し、厳しい競争社会に身を投じで、戦後の日本の高度経済成長を支えてきて、定年を迎えた段階の世代の人たちに多いパターンとして、団塊モンスターがあります。
この世代は、一生懸命仕事をしてきて、厳しい競争社会の中を生きてきて、交渉力と知識を武器に相手を論破して成果を上げてきたという自負があるプライドが高い人たちです。
自分の生きざま、知識、交渉力に自信とプライドをもっている厄介な怪物で、正論で意見をしながら、しだいに説教へとエスカレートしていくタイプが多いのです。
金品をかすめとろうとしたり、悪意をもってクレームをつけてきているわけではないところが厄介なところなのです。
金品をかすめとろつとしたり、悪意を持っているのであれば、録音・録画して証拠を残して、弁護士に相談して裁判とすれば、彼らは金品をかすめとろうとしたり、悪意をもっていたことがバレてしまうので、「裁判」という言葉を聞いただけで引っ込んでしまったりします。
ところが、団塊モンスターは、企業のためよかれと思ってやっているケースも多く、善意から説教しているのです。
プライドは高く、でも会社を辞めて自分の居場所をなくし、鬱屈した感情があり、それが善意の説教という形で爆発しているのです。
現役時代に大きな業績を残したり、周囲からチヤホヤされたりしていたのに、定年退職した後、役職・肩書を失い、ただのおじさん扱いをされることで疎外感を感じるようになり、それがクレームの動機になっていたりします。
また論破することで、自尊心を保とうとしているのです。
クレームを受けたほうは、ただでさえ忙しいのに長々と説教はされるし、かといって善意で言われているものを無下にすることもできず、対応に困ってしまうのです。
団塊クレーマーは、「店内の陳列をもっと工夫しろ!」「接客態度がなっていない!」「安全対策を怠っている!」などと言ってくることが正論なだけに、厄介なのです。