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成長期の腸内細菌が性格を変える

人間の健康な生活の営みにおいて重要な役割を果たしている腸内細菌ですが、人間の性格をも変えてしまうのではないかということが研究されています。

よそ者である腸内細菌が性格を変えるというと、何か変な感じがします。

しかし、このよそ者である腸内細菌が、行動を司る中枢である脳の発達に深く関与している可能性が指摘されています。

日本の医師が発見した腸内細菌が性格に及ぼす影響

実は、成長期の腸内細菌が性格に影響を与えるかもしれないことを発見したのは、日本人医師である九州大学診療内科の須藤信行教授でした。

1990年代のことですが、実験施設で飼育していた無菌マウスが落ち着きがなく、わずかな物音にも敏感に反応して警戒心を持つ傾向があることに気づきました。

その違いは普通のマウスと比べて明らかにわかるほどでした。 無菌マウスの特徴はというと、腸内細菌がいないことがあげられたので、無菌マウスに普通のマウスの腸内細菌を移植する実験を行ったところ、あるマウスに変化が現れ、過敏な警戒心がおさまり、落ち着きをみせるようになったのです。

腸内細菌とストレスホルモン

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さらに調べていくと、無菌マウスの体内ではストレスホルモンが過剰に分泌されることがわかりました。

つまり無菌マウスはストレスに対して敏感になっているのです。 しかし、普通のマウスの腸内細菌を移植した場合、マウスのストレスホルモンが過剰に分泌されることはなくなりました。

成長過程における脳の発達とストレス耐性

生まれたばかりの赤ちゃんをみていると、ちょっとした音や光などの刺激に対して非常に敏感なのがわかります。

しかしこれは、成長とともに脳が学習していくことで、刺激に対して必要以上に反応しなくなっていきます。 このように脳が学習し発達していくことで、ストレスを必要以上に感じないようになっているのです。

一方、脳が発達する過程で障害が起こると、学習されないまま成長していってしまうため、刺激に対して花瓶に反応して大きなストレスを抱え込みやすくなります。

腸内細菌とストレス

普通マウスの腸内細菌を移植した無菌マウスに関して言うと、すべての移植した無菌マウスがストレスに対する過敏反応が消えたわけではありません。

腸内細菌を与えてストレスが減ったのは成長過程にある子供のマウスだけだったのです。

大人の無菌マウスに腸内細菌を与えてもストレスは減らないことから、大人のマウスではすでに脳の発達が終わっているため、腸内細菌を与えても変化があらわれなかったのではないかと推測されます。

つまり腸内細菌は、マウスにおいては、その脳の成長過程に影響を与えて、性格まで変えてしまったという結果になります。

無菌マウスに腸内細菌を与えることで、ストレスが減ったというのはマウスにおける実験であり、人間に対してこれがあてはまるかどうかということに関しては、この研究をもとにいろいろと研究が進められているようです。