面白い人間心理 Take & Run
人間とは、まったくもって面白い動物です。
ハーバード大学で、104人のボランティアを使った面白い実験が行われているのでご紹介します。
104人のボランティアを実験室に集め、2人ペアとなってあるゲームをしました。
ペアになった2人は、金銭トレードを行っていきます。
選択肢は2つ。 「協力」か「逃亡」か
ここでAさんと、B君がペアだったとしたときに、それぞれAさんとB君は同時に、「協力」か「逃亡」かを宣言します。
このとき、次の4パターンが考えられます。
Aさん「協力」 B君「協力」
Aさん「協力」 B君「逃亡」
Aさん「逃亡」 B君「協力」
Aさん「逃亡」 B君「逃亡」
「協力」のときは相手に1万円支払いますが、見返りとして2万円第三者から受け取ります。
「逃亡」のときは相手から1万円を奪って逃げるということになります。
つまり、こうなります。
Aさん「協力」+1万円 : B君「協力」 +1万円
Aさん「協力」-2万円 : B君「逃亡」+2万円
Aさん「逃亡」+2万円 : B君「協力」-2万円
Aさん「逃亡」 ±0円 : B君「逃亡」 ±0円
つまり自分が「協力」したとき、相手も「協力」してくれれば、1万円ずつもらえますが、もし自分が「協力」としたとき相手が「逃亡」であれば、自分が相手に渡した1万円と第三者からもらった1万円の合わせて2万円を奪われてしまいます。
それじゃ自分が「逃亡」した場合、相手が「協力」であれば相手から2万円奪うことになりますが、もし相手も「逃亡」であれば1円もはいってきません。
ずっと「協力」し続ければ、1万円もらえる可能性もありますが、2万円失う可能性もあります。
逆にずっと「逃亡」し続ければ、0円のときもありますが、2万円もらえる可能性もあります。つまり少なくとも損はしません。
さて、「協力」としたケースは何%だったでしょうか?
このゲームを行った結果、「協力」を選んだケースがわずか20%しかなかったといいます。
まあ、絶対損しないで、うまくいけば儲けることができるのだから、「逃亡」を選ぶのも無理はないでしょう。
Give & Take ではなく、Take & Run というわけです。
罰を課したらどうなったか?
これじゃ、常に「逃亡」を選択すれば損はしないということで面白くないなと。。。
そこで、不快な行動を取った相手に対して、自分が1万円を払うことで、相手には4万円のペナルティーを与えることができるというルールを追加しています。
すると、50%以上のケースで「協力」を選択するようになりました。
もちろん、善意の協力ではなく、罰を恐れた利己的な選択と言えるでしょう。
ところで、このゲームで儲けることができたじょうずな人は、実際には「罰:ペナルティー」の行使をそれほどしていないということがわかりました。
逆に罰の行使率が高い人は、獲得金が低いという結果となっています。
「罰」は実際に行使するというよりも、見えざる抑止力となって、安定した社会がつくられているのであろうという結論に達しています。