長所を活かし、挫折をヤル気に変えられる人
現在の日本の社会をみてみると、親子にしても、夫婦にしても、会社の上司部下にしても、相手の欠点ばかりが目につき、すぐ欠点を指摘したり、叱ったりするといったことが多くなっています。
なかなか、他人を褒めたり、激励したりすることが忘れられている時代とも言われています。
今や日本人では知らない人がいないといっても過言ではないイチロー選手ですが、入団当初は、ドラフトからして4位、そしてシーズンに入ってからも首脳陣の評価は低かった。
当初のイチローは内角高めの球が打てませんでした。
有名な話として、当時の土井正三監督は、イチローに内角高めが打てないため打撃フォームの改造を求めていました。
しかし、河村コーチはイチローの才能を見抜き、やがて二本足打法から振り子打法を確立して、首位打者をとることになりました。
イチローの才能を開花させた河村コーチの指導とは
河村コーチは、イチローの才能を確信し、イチローのフォームの特徴を見抜き、その良さを伸ばそうとしました。
二本足打法だったイチローは、下半身をゆっくり動かしてバックスイングをとっていましたが、河村コーチはそれがイチローのフォームの原点であることを見抜き、「もっと下半身をゆっくり動かそう」というアドバイスを送っていました。
一本足打法にしようとか、振り子打法にしようとかというアドバイスは一度も出したことがありませんでした。
下半身をゆっくり動かそうとしたイチローは、必然的に右足を上げるようになっていったといいます。
内角が打てないという欠点だけを見られて、ことあるごとにフォーム改造を求められ、挫折感を味わってきたイチロー。
河村コーチと出会っていなければ、今のイチローはなかったかもしれません。
河村コーチは、イチローの才能に気づき、その打撃フォームの原点を見出し、その長所とヤル気を引っ張り出した功労者ともいえるでしょう。
相手をどう褒めるか、どう叱るかで、人は成長もし、腐りもする
人はどう褒められるか、どう叱られるかによって、成長することもでき、逆に腐ってしまうこともあります。
恐ろしいことに悪意をもって、人を腐らせるのは簡単です。
短所ばかりを指摘し続け、ダメ出しをして、マイナスのストロークを出し続けるのです。
すると人間は、落ち込んでああ自分はダメな人間なんだと思うようになり、ヤル気がなくなり、言われるとおりダメ人間になっていってしまいます。
それじゃ、短所に目をつむり何も言わないのがいいというわけではありません。
人を成長させるには、短所でも褒めてしまうのです。
たいしたこともない長所でも大げさに褒める。
長所を褒め、その中で短所を指摘しつつ励まして改善に導いていく。
長所はもちろん褒める