生卵が先か? ゆで卵が先か?
ゆで卵は、生卵から作る。 それじゃ生卵は?
答えは、生卵は、ゆで卵から作る!
えええええ!? んなバカな 手品なんかーーーぃ!
いえいえ、手品ではありません。
実は、カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)とオーストラリアの化学者らによる共同研究で、ゆで卵を生卵に戻す技術が成功したというニュースがありました。
おおお、このカルフォルニア大学の先生たちは、手品師なんか?
いえいえ、ちゃんとした研究者で、大真面目にこの研究をやって、みごとゆで卵から生卵を作ることに成功しました。
この実験結果は、生化学誌『ChemBioChem』に掲載されています。
なにをバカでナンセンスな実験なんだ。。。
ふざけているのでも、手品でもない真面目な研究
ゆで卵を生卵に戻したところで何の意味があるのだろうか? べつに生卵で食べたければ茹でないわけだし、ゆで卵をわざわざ生卵に戻したところで意味ないのでは。。。
しかし、このゆで卵を生卵に戻す技術が、ガン治療や食品生産の現場で活かされているというから驚きです。
種明かしはというと、絡まったタンパク質を引っ張って離し、それをまた元にもどす技術ということで、卵を90℃で20分間茹で、その卵の中のキーとなるたんぱく質をまた元の状態に戻すということをやっています。
この研究は、貴重な分子タンパク質の生成や再利用に役に立つ技術で、多くの研究者たちが模索してきた方法です。
通常は、遺伝子組み換えのタンパク質を特殊加工して代用したりとしてきたところですが、この方法だと多額なコストがかかってしまいます。
卵は茹でると、熱や化学反応によって、リゾチームという透明なタンパク質となります。このタンパク質が白く凝固して、再生成される仕組みで、凝固したタンパク質に尿素を注入してから機械的に圧力をかけることで、個体となったタンパク質がほぐれ、液体にもどります。
医薬品への応用
この技術を使うと、今までガン治療に使われるガン抗体を生成する際に、ハムスター卵巣細胞を使っていましたが、この方法だと高価になってしまいます。
これは、直接患者の治療費に跳ね返ってきて、治療の際、高い治療費を負担しなければならなくなってしまいます。もちろん、医療費自体も圧迫してしまうことになりかねません。
ところが、このゆで卵から生卵を使う技術を用いると、酵母や大腸菌からいち早く安価に、タンパク質を再形成できるようになります。
つまりタンパク質の形成が簡素化できることで、将来の薬の製造コストを抑えることができます。