ピース又吉さん、『火花』(芥川賞候補作品)だけでない、いろいろな才能
文学、スポーツ、お笑い 俳優!? いろいろな顔をもつ又吉さん
お笑い芸人の『僕』
今ホットな作家さんといえば、お笑い芸人 ピースの又吉直樹さん。残念ながら称賛されながらも1票差で三島由紀夫賞受賞とはならなかった『火花』が、芥川賞候補に名乗りをあげています。
お笑い界でいえば、まあテレビで見ない日はないといった中堅どころといったところでしょうか。お笑い好きの人だったら、まあ知らない人はいないかもしれません。
そんな又吉さんですが、お笑い芸人としては、相方の綾部さんがツッコミ、又吉さんがボケ担当で、長い髪にちょっと控えめでとぼけた風貌で、結構マニアがいそうな顔つきをしています。
お笑い芸人にはめずらしい読書家
なんかちょっとお笑い芸人としては根暗っぽくて、教室の隅で静かに読書でもしていて自分の世界をもっている、ちょっと影がうすい友達、でも話してみるとちょっとユーモアがあって面白いといったイメージでしょうか。
そんなイメージどおり、又吉さんはお笑い芸人という職種からはちょっと想像つかないのですが、読書家で2000冊の本を読み、自宅にも1000冊以上の本があるということです。
サッカーでインターハイに出場したイケメンボーイ
しかも、高校時代はサッカーをやっていて、名門の北陽高校で選手としてインターハイに出場するほどの実力があるというから、おどろき・もものき・山椒の木、ビックリどんきーです。
はっきりいって、あの顔立ちからは想像がつきません。
顔つきも凛々しく、青春ドラマに出てくるイケメン?俳優みたいな感じです。
自叙伝ではないが、交差する『自分』と『僕』
芥川賞候補となっている『火花』は、売れないお笑い芸人「僕」と、同じく売れない先輩芸人「神谷」との交友を描く中編小説になっている純文学。
自叙伝のようで自叙伝ではないこの内容、「井の頭公園の入り口の緩やかな階段を降りて行くと、冬の穏やかな陽射しを跳ね返せず、吸収するだけの木々達が寒々とした表情を浮かべていた」という情景描写は、まるで本当に吉祥寺の駅から井の頭公園に入っていくような感じにさえなります。
文才もあり、スポーツの才もあったのに、テレビでの又吉さんは、本職はお笑い芸人、お笑い芸人を辞めるつもりはないと、はっきり言っています。
控えめな笑みに隠れた気遣うやさしさ
お笑い芸人なのに、声を出して笑うこともせず、後ろのほうでクスっと意味深な笑みをうかげていて、表に出てきて目立つのは相方の綾部さんばかりといった感じですが、アメトークでは、気にし過ぎ芸人という枠で、しかもリーダーで出演されていました。
又吉さんは、子供時代、家庭が貧乏だったようで、焼き肉を食べに行ってもお母さんは肉を2枚食べて「もうお腹いっぱい」と言い、子供たちに食事を譲っていたといいます。又吉さんも又吉さんの姉も親に「お茶漬けでお腹一杯」と食事を譲ると言った生活をしていたと言います。
根は明るくて楽しい性格だけど、なんとなく控えめで自分を出し切れない、でもそこには人を気遣うやさしさや温かさがにじみ出ている、そしてそんな中でも冷静に自分を客観視してきた子供時代が、今の又吉さんの原点なのかもしれません。