カルシウムというと、骨をつくるミネラルというイメージがあり、脂質とは無関係と思われますが、意外なところで関係しあっています。
カルシウムと脂質はどう関係があるのか
それではカルシウムと脂質はどう関係があるのか検証してみると、まず臨床面で文献を調べてみると、カルシウムが脂質に影響を及ぼすとする報告がある一方で、そういうことはないという否定的な研究報告もあり、どちらとも言えません。
しかし、カルシウムが脂質と関係しているということは、メカニズムの面からは学術的には説明できます。
カルシウムが直接に脂肪の代謝に関わるということではありませんが、間接的にはカルシウムは脂質と深い関わりがあるのです。
脂質が私たちの体内に吸収される時には、肝臓から出てくる胆汁が重要な働きをします。
カルシウムは、この胆汁に含まれる胆汁酸や脂質と結合することで、脂質が小腸から吸収するのを抑える働きがあると言われています。
食事中のカルシウム量と吸収されなかった脂肪量の相関関係を調べた研究方向がありますが、その研究の結果として、カルシウムが脂肪の吸収を抑えることが確認されています。
臨床報告においても、低脂肪食とカルシウムを組み合わせて摂取した場合、血中のコレステロール値が下がったという研究方向があります。
また、炭酸カルシウムを低脂肪食と摂った場合、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールが減る一方で、善玉コレステロールであるHDLコレステロールが増加したという研究発表もあります。
しかし、カルシウムと脂質が関係あるとする研究だけでなく、それを否定するコレステロールや中性脂肪などの血中脂質濃度には影響を起こさなかったという報告もあります。
カルシウムを飲むとダイエットできるのか?
カルシウムを飲むとダイエットできるかどうかについて、結論を先に言うと、可能性はあるが、断定はできないという答えになります。
実際に、カルシウムでダイエットできるかどうかということについては、肯定的な研究報告と、否定的な研究報告の両方があります。
カルシウムがダイエットに効果ありとする報告
過体重または肥満の人による6ヶ月以上のカルシウム摂取した実験において、カルシウムの摂取により、わずかですが体重と体脂肪の減少との関連性がみられた。
カルシウム350 mgとビタミンD 100 IU含有したオレンジジュース240 mを1日3回、16週間にわたり飲み続けた過体重または肥満の成人において、内臓脂肪面積の減少が認められたという報告もある。
まとめ
カルシウムがダイエットに効果があるかというと、学術的に作用機序として説明しろと言われれば、関連性を示すことはできますが、実際の臨床では賛否両論あるという状態です。
ただ、ダイエット中は、カルシウムが不足しやすいので意識してしっかりと摂るべきです。
体重が軽くなってきたり、宇宙飛行士のように無重力空間にいたりすると、骨への負荷が減り、骨から血液中にカルシウムを溶かし出してしまうといいます。こうなると骨量が低下し、骨がもろくなる原因にもなります。
こういったことを防ぐためにも、ダイエットする時には、カルシウムの摂取を意識したほうが良いでしょう。